挨拶に代えて
年末にあたり、当ブログの2013年の人気記事を5つ紹介したい。紹介の対象となるのは、本2013年に当ブログに投稿した記事のうち、FacebookやTwitterなどで反響が大きかったものである。
2013年には、この記事を含めて57の記事を公開した。来年も同様に種々の記事を公開していく予定であるので、折に触れて読んでもらえれば幸いである。それではよいお年をお迎えください。
元始統計は太陽であつた
オンラインで無料で読める統計書を紹介。入門書の他、より高度な内容の書籍も。
本2013年は、「ビッグデータ」や「データサイエンティスト」という言葉が人口に膾炙した年であった。『銀座で働くデータサイエンティストのブログ』の「2013年の『データサイエンティスト』狂想曲と個人的なあれこれとを振り返る」という記事にあるように、狂想曲的なデータ熱というものがあった。
そういった流れを受け、統計でも勉強してみようかなという人が結構いたのだろう。新しく勉強を始めることは素晴らしいことだ。ただ、学ぶのならしっかりと学ぶことが大事だ。半可通にならないように気をつけよう。
このブログでも、本当は統計に関する(入門的な)記事をもう少し書きたいのだが、いかんせん集中して書く時間がなくて困っている。来年、2014年はなんとか役に立つ記事を書いていきたいと思う。
就活的な、余りに就活的な
なかなか内定がとれずに消沈する二人の学生が見た「当社は採用の多い企業ですからどうかそこはご承知ください」という文言。この企業はどんな企業なのだろうか?
宮沢賢治の『注文の多い料理店』のパスティーシュ [1] で、童話中の登場人物を就活生に置き換えて描いたものだ。就職活動の話は、身につまされる人が多いようで、割合と色々な人が見てくれたようだ。
就活に関係する話としては、宮沢賢治の『オツベルと象』をもじった「オツベルと社畜」や夏目漱石の『吾輩ハ猫デアル』をもじった「吾輩ハ無職デアル」という作品も書いた。前者は就活を済ませた人が使いつぶされる話、後者は使いつぶされた人が職を離れる話である。
自分で書いたものを読み直して思ったことは、童話という衣を着ると、その背後に隠されている寓話的内容の深刻さが幾分か軽減されるということだ。これは元々の宮沢賢治の作品もそうかもしれない。深刻な内容は直視しにくい。間に童話という衣をはさみ、言わばサングラスのように使うと、見えないもの、見たくないものがうっすらと見えてくるというわけだ。そういうことを意識しながら、来年も何か書いていきたいと思う。
日本之下層研究者社会
衰微した平安朝の下人の話ならぬ、衰微した平成朝の下人、もといポスドクの話。校門に捨てられたポスドクが、薄汚れた研究室で見たものとは?
芥川龍之介の『羅生門』のパスティーシュとして、学術界の下層にいるポスドクの悲哀を描いた作品。今は学術で身を立てようとするのが難しい時代であり、レールから外れると復帰することは非常に困難になっている。外れてしまったまま、地の底に落ちることもあるかもしれない。「羅生門―ポスドク編」の後に書いた「蜘蛛の糸—無職博士編」という作品では、実際にレールから外れた「無職の博士」が地の底に落ちているさまを描いた。
つらいのは、就活の世界も研究者の社会も変わらないのだ。
院生やポスドクに関する話としては「杜子春―ポスドク編」、「注文の多い料理店—院生編」、「名人伝—院生編」というものも書いた。
ひっくり返っちまった悲しみに
twitter→ɹəʇʇɪʍʇのように英数字を180度回転して表示する方法
twitter→ɹəʇʇɪʍʇのように英数字を180度回転する際に役立つ情報を掲載。この他、TeXで文字を回転して表示する方法についても。
“A”を“∀”に、“y”を“ʎ”にするなど、英数字を180度回転した形について解説した記事。この記事は、Twitterでの受けがかなり良かった。とは言え、なぜこの記事が受けたのか自分でもよく分からない。“ twitter”が“ɹəʇʇɪʍʇ”になるといった見た目の分かりやすさが人気を呼んだのだろうか。ちなみに姉妹版として、「Facebook→ʞoodɘɔɒᖷのように英数字を鏡文字にして表示する方法」という記事も書いた。こちらの受けはあまり良くなかった。
この記事に対する感想で「カナダ先住民文字はひっくり返りすぎだ!」というのがあった。実はカナダ先住民文字は、文字の向きによって発音が決まるので、180度回転することがよくあるのだ。ちなみに、180度回転だけでなく、90度回転や270度回転もある。
水仙月の重ならない日
2013年4月5日は、26年ぶりに日付を表す数字がすべて異なる日
2013年4月5日は、26年ぶりに日付を表す数字がすべて異なるものとなる日付だ。
今年(2013年)の4月5日は26年ぶりに日付を表す数字がすべて異なるものとなるという点で、特別な日付だった。この話をまとめた記事である。「数学」に関する記事としてしまったのだが、それで良かったのだろうか。
なお、来年(2014年)は、日付を表す数字がすべて異なる日が30日ある。一番早く来るのは、2014年3月5日である。
- 文体などをもじって作り上げた作品のこと。 [↩]