2014年の人気記事五選

概要
2014年に当ブログに投稿された記事で、人気があった記事を5つ紹介する。

挨拶に代えて

年末にあたり、当ブログの2014年の人気記事5つ紹介したい。紹介の対象となるのは、本2014年に当ブログに投稿した記事のうち、FacebookやTwitterなどで反響が大きかったものである。

さようなら、2014年
さようなら、2014年

2014年には、この記事を含めて45本の記事を公開した。来年も同様に様々な記事を公開していく予定であるので、折に触れて読んでもらえれば幸いである。それではよいお年をお迎えください。

統計累ヶ淵

ダメな統計学:目次

『ダメな統計学』の目次。『ダメな統計学』には科学研究での統計の誤用がもたらす問題点について様々なことが書かれている。科学を研究しようとする人や統計で分析をしようとする人は必読。

2014年の最初の方は「これからはビッグデータ!」や「データサイエンティストが熱い!」といった威勢の良い言葉をよく耳にした。2013年に出版された『統計学が最強の学問である』という本は今年も売れ続けているようで、2014年のビジネス書大賞の経済書部門で大賞に選ばれていたぐらいである。さらに、青土社の『現代思想』の2014年6月号が「ポスト・ビッグデータと統計学の時代」を特集するということもあった。

しかし、年の終わりが近づくにつれ、こうした威勢の良い言葉はかなり減ってきたようだ。減ってきたこと自体は決して悪いことではない。威勢の良い言葉が蔓延していた時期は、「ビッグデータとか統計学なら、玉でも石でも何でも構わないぞ」という状況に陥りがちであった感もある。統計ブームが下火になったからこそ、統計分析の質が問われるようになってきたと言えよう。つまりは、玉石混淆の統計分析を捨て、玉だけを残す段階に入りつつあるのである。

だが、足元は石だらけだ。科学研究の世界にも、統計に対する誤解や統計の誤用がたくさん存在している。こうした誤解や誤用について扱ったStatistics Done Wrongという文章を訳して、「ダメな統計学」として公開した。統計で何か分析しようと考えている方にぜひこれを一読することをおすすめしたい。なお、PDF版冊子にしたものも公開しているので、まとめて読みたい人はこちらもどうぞ。

統計ノス丶メ

統計学の初心者が入門として最初に読むべき一冊

統計についてほとんど何も知らない人が読むべき本としては『マンガでわかる統計学』が一番のおすすめである。

さて、統計に関する誤りを防ぐにはどうすればよいか? 統計をしっかり勉強するのが一番だ。

ただ、初心者にとってどうやって勉強すれば良いかということはなかなか分かりにくい。熟練した人にとっては、よく分かっていることであっても、一般の初心者には全く見当が付かないということがよくあるのである。つまり、熟練した人と初心者の間にギャップが生じているのだ。

そのギャップを埋めるために、「統計学の初心者が入門として最初に読むべき一冊」という記事で何から勉強し始めれば良いかということをについて示した次第である。いかんせん集中して書く時間がなくて困っているのだが、できれば来年(2015年)は、もっと入門者向けにどう勉強すれば良いかということを記した記事を書いていきたいと思う。そうすることで、微力ながら、読者のみなさまが世界をより良く認識する助けになれば良いと考えている。

専門オペラ

専門的な文章を読むには訓練が必要という当たり前だがあまり知られていないこと

専門家はお互いにとって理解しやすくするために、専門用語を使って文章を書く。こうした専門的な文章を理解するにはしっかりとした訓練が必要である。

もちろん、ギャップを埋めるには各自の努力も必要である。あくまでも、専門的な文章を読むには訓練が必要なのである。山に登るにはそれなりの訓練をしてからでないと登れない。訓練の手助けはできるが、ギャップを埋めるには自ら動く必要があるのである。

ああ無断引用様だよと私は嘘を吐くのであった

「無断引用」という表現はやめよう

他人の文章を自分の文章のように扱う研究上の不正は、「剽窃」または「盗用」と呼ぶのが正確であり、不正確で誤解を招く「無断引用」という表現を用いるのはやめるべきである。

ギャップと言えば、今年の科学報道においては、科学者と一般人の間の考えのギャップが生んだ齟齬が少なくなかった。本来、このギャップを埋めるのは報道を行う記者ということになるのだろう。しかし、記者は往々にして、一般人寄りの世界から出られず、科学者の世界の様子が分からないまま報道してしまうので、ギャップが埋められないままなのだ。だから、「STAP細胞」の報道の際も、色々とかみ合わない報道をしてしまうのである。

「無断引用」という表現も、科学者と一般人の間に存在するギャップの1つである。多くの科学者は日常的に引用を行っており、引用と剽窃の区別がついているが、一般人はそうではない。こうしたギャップは説明されれば分かるのだが、説明されなければなかなか気づかないものである。だから、私はこのような記事を書いてギャップを埋めるようにしている。こうしたギャップを埋めることもできれば続けていきたい。

文書作成は男子一生の事業とするに足らざる乎

学術論文を書くときは Microsoft Word と LaTeX のどちらが効率的か?

学術論文のための文書を作成するときは、LaTeX よりも Microsoft Word の方が効率的であるという結果を出した研究について紹介する。

Word と LaTeX の方がどちらが効率的かということを論じた研究を紹介した記事である。LaTeXを使っている人には深い思いがあるようで、色々な反応があった。結局の所、自分の好きなツールを使うのが一番幸せなのかもしれない。