日本語フォントと中国語フォントの混在
日本の街角にある中国語の掲示物を見ると、日本語と中国語のフォントが混在していることが少なくない。例えば、以下の写真に示す掲示では、中国語の部分で日本語のゴシック体フォントと中国語の非ゴシック体フォントが混在している。
![2012年9月東京都港区の竹芝客船ターミナルにて撮影。中国語は一番下の行に書かれているが、1文字目の“封”が日本語のゴシック体フォント、2文字目の“闭”が中国語の非ゴシック体フォントになってしまっている。](http://id.fnshr.info/wp-content/uploads/sites/2/2018/04/wrong-chinese-sign-shimekiri.jpg)
こうした事態は、大概の場合、掲示物を作成するときにフォントを適切に設定していないために起きる。日本のPCで掲示物を作るときは、日本語のフォントがデフォルトとなるのが多いと思う。すると、日本語でも中国語でも使う漢字については日本語のフォントで、中国語でしか使わないような漢字については中国語のフォントで表示されてしまう。
おまけに、適切な設定が行われていないと、日本語はゴシック体なのに、中国語は宋朝体や明朝体などになってしまうことが多い。そうすると、かなり不揃いに見えてしまう。
![フォントの設定が行われていないために日本語フォントと中国語フォントが混在してしまう例。ここでは、“闲”と“进”という簡体字が日本語フォントに含まれないため、中国語の非ゴシック体フォントになってしまっている。これに対して、“人”と“免”は日本語フォントに含まれている字であるため、日本語ゴシック体フォントで表示されている。](http://id.fnshr.info/wp-content/uploads/sites/2/2018/04/wrong-chinese-sign02.png)
このようなことを防ぐためには、中国語の部分は明示的に中国語のフォントを指定すべきである。なお、掲示物を作る場合は、中国語のフォントの中でもゴシック体フォントを使うことが望ましい。宋朝体や明朝体といった非ゴシック体フォントは、細くて読み取るのが難しくなるので避けよう。
![フォントの設定を適切に行い、中国語は中国語のゴシック体フォントで表示するようにした例。](http://id.fnshr.info/wp-content/uploads/sites/2/2018/04/better-chinese-sign01.png)
使用すべきフォント
それでは、具体的にどんなフォントを使うべきなのだろうか。Windows を使用しているのなら、以下のフォントが使える。
- 簡体字中国語
- Microsoft YaHei(微软雅黑)
- SimHei(黑体)
- 繁体字中国語
- Microsoft JhengHei(微軟正黑體)
また、macOS ならば、以下のフォントが使える。
- 簡体字中国語
- Heiti SC(黑体-简)
- STHeiti(华文黑体)
- Hiragino Sans GB(ヒラギノ角ゴ 簡体中文)
- 繁体字中国語
- Heiti TC(黑體-繁)
- LiHei Pro(儷黑 Pro)
このほか、容易に手に入れることができるフリーフォントとして、Source Han Sans(思源黑体/思源黑體)がある。これは、簡体字中国語・繁体字中国語・日本語・韓国語のゴシック体フォントが統一されたコンセプトのもので作られたものであり、日本語と中国語を混在させた掲示を作るときに、統一感を出すことができると思う。
しかも、Source Han Sans にはかなりの細字からかなりの太字までが含まれている。掲示物を出すときは、ゴシック体の中でも太字にした方が見やすくなることが多いので、その意味でも太字が使いやすいこのフォントは便利である。
- 本題から外れるが、英語は “Closes” でなくて、“Closed” とすべきであろう。 [↩]