フランス語でフォントを表す2つの単語の違い

概要
フランス語で「フォント」を表す単語としては police と fonte がある。前者は同じ書体ファミリーに属するフォントの総体を指し、後者はウェイトやポイントなどが指定された個別のフォントを指す。

police と fonte

日本語の「フォント」に相当する表現として、フランス語には police [1] という表現と fonte [2] という表現がある。この2つの表現には明確な使い分けが存在する。

まず、police は同じ書体ファミリーに属するフォントの総体を指す [3] 。これに対して、fonte はウェイトやポイントなどの指定がある個別のフォントを指す。

以下の例文にあるように、総称としては police を用い、個別に指す時はfonte になる。

Garamond est une police de caractères créée par Claude Garamont.(ギャラモンはクロード・ギャラモンによって作られた書体である。)

Garamond italique 10pt est une fonte.(ギャラモンイタリック10ポイントは1つのフォントである。)

他の例を挙げよう。総称としての Times は police となる。これに対して、個別にTimes の Italic を示すときは fonte になる。一つの police の中に複数の fonte が含まれている場合があるのだ。

また、日本語フォントでも同様に考えることができる。「ヒラギノ」と言えば、フランス語では police という扱いになる。これに対して、「ヒラギノ明朝 W5」と言えば、fonte という扱いになる。「ヒラギノ」という police の中に、「ヒラギノ明朝 W3」、「ヒラギノ明朝 W5」などの fonte が複数存在するのだ。

脚注
  1. 警察を意味する police と区別するために、police d’écriture や police de caractères と言うこともある。 []
  2. fonte de caractères とも言う。 []
  3. あえて訳すなら、police は「書体ファミリー」や「フォントファミリー」になるだろう。 []