はじめに
新年度になって、何か新しいことを学ぼうという気になったという人は少なくないだろう。そうした人の中には、これから数学を学ぼうと思った人もいるかもしれない。それだけでなく、高校や大学に進学したことで、今までとは違った感じの数学を学ぶ必要が出てくる人もいるだろう。
この記事では、そういった人のために、数学の学び方や考え方に触れられる文献を紹介していきたいと思う。
大学での数学の勉強
大学での数学の勉強は、高校までの数学の勉強とは違うところがある。このため、高校の時のやり方でうまくいくとは限らない。このため、大学での数学の勉強にあった学び方を身につける必要があるだろう。
日本評論社が出している『数学セミナー』の増刊号に『数学ガイダンス2016』というものがある。この本は、大学の新入生に向けて書かれた、大学での数学の学び方について記したムックである。大学の数学の世界がどんなものであるかがうまくまとめられている。
なお、この『数学ガイダンス2016』で数学の学び方について解説している筑波大学の竹山美宏准教授が、オンラインで「大学での数学の勉強法」という短い文章を公開している。この文章では、大学での数学の勉強がどのようなものであるかということが簡潔に書かれており、さらに具体的にどう勉強すればよいかが書かれている。誰でも無料で読める文章であるし、とりあえず読んでみてはいかがだろうか。
竹山氏が書いたものと言えば、『日常に生かす数学的思考法』というものもある。これは数学そのものについて扱ったといいうよりも、数学の考え方を記したものである。人文系の人など、あまり数学を使わない人でも、この本に書かれている考え方は把握しておくと勉強になるかもしれない。
なお、日本評論社の『数学セミナー』について言えば、昨年出た『数学セミナー2015年4月号』では、「大学生に薦める数学の教科書」という特集が載っている。1年前の雑誌で買うのは難しいかもしれないが、図書館などでバックナンバーがあるかと思うので、興味がある人は読んでみるとよいかもしれない。
ところで、大学の数学で扱われる範囲は結構広い。どのように広がっているかを知っておくことは数学の勉強のときに役立つだろう。先ほど挙げた『数学ガイダンス2016』にも数学の世界の広がりを示した記事が載っている。また、5月にならないと出版されないのだが、今度東京大学出版会から数学の世界の広がりを初学者向けに記した本が出るそうだ。『数学の現在 i』・『数学の現在 e』・『数学の現在 π』の全3巻。
読み物を通じた数学
ずっしりとした数学書を読むのは、なかなか大変なことだ。そして、数学に慣れていない人は数式が羅列されているのを見ていやになることもあるだろう。そういった人は、読み物として数学について分かる本を読んでみると良いかもしれない。
割と簡単なものとしては、『数の悪魔』というものがある。ちょっと子どもっぽいところもあるのだが、分かりやすくて面白い。
あとは、結城浩氏が出している『数学ガール』という本もある。これはシリーズ化されていて、読み物形式で色々な数学の問題を扱っていくというものだ。扱われている数学の内容は結構高度なものも含まれている。なお、著者の結城氏が「「数学ガール」って、どれから読めばいいの?」という文章を公開しているので、シリーズのどれから読むか悩んでいる人はチェックしてみよう。