『漢文を読むための助字小字典』

概要
『漢文を読むための助字小字典』という小冊子には、漢文の助字がコンパクトにまとめられており、漢文読解に有用である。

助字を理解するための小冊子

漢文を読む際には、「以」、「且」、「不」、「何」といった助字を理解することが重要である。そうした助字についてコンパクトにまとめた小冊子が漢文を読むための助字小字典』である。

漢文において助字とは、文法的な役割を果たす字のことである。日本語でたとえれば、「が」・「を」といった助詞、「だろう」・「られる」といった助動詞、「しばらく」・「すでに」といった副詞のような働きをするのが漢文における助字である。日本語で助詞などの意味を正確に理解しないと文章が読めないのと同様に、漢文でも助字の意味を正確に理解しなければ、文章をしっかりと読むことができない。このため、漢文を読むには、助字を理解することが大事になる。

漢文を読むための助字小字典』は、たった40ページしかない小冊子であるが、漢文の助字について詳しく丁寧に説明している。漢文の助字を学んだり、漢文を読んでいて助字の意味が分からなくなったりしたときに、非常に役立つだろう。また、値段も安い [1] ので、手軽に手に入れることができる。

この本は、およそ200の助字について説明している。説明があっさりしている助字もあるが、「者」や「且」のように複数の用法がある助字については、細かく分類してその意味を示している [2] 。実際に漢文を読む場合、複数の用法がある助字の解釈はかなり難しいので、この本のように用法をまとめてあるものは非常に助かる。

漢文を真剣に学びたい人は、この本を一度通読しておくとよいと思う。40ページしかないので、読むのにさほど時間はかからないだろう。読んでいるうちに、入門的な漢文の教材ではあまり触れられていないことを色々と知れると思う。

例えば、「初」という字についての説明を見ると、「はじめ」というよく扱われる用法の他に、「…したばかり」という意味になる用法もあるということが分かる。また、「常」という字についての説明を見ると、「つねに」という用法の他に、「かつて」という用法もあることが分かる。

こうした意外な用法を知っていると知っていないとでは、漢文読解が正確にできるかが変わってくる。漢文をしっかり読めるようになりたければ、この本の内容をざっと確認しておき、実際に漢文を読んでいてつまずいたら再度この本で調べるようにするというのがよいだろう。

脚注
  1. 2015年11月現在で、本体価格450円+消費税36円=486円となっている。 []
  2. 漢文を読むための助字小字典』にはあくまでも助字としての意味しか載っていない。その点、注意が必要である。例えば、「悪」という字は、疑問詞としての意味と感嘆詞としての意味しか載っていない。「わるい」という意味は助字としての用法ではないので載っていない。助字以外の意味用法を調べたければ、素直に漢和辞典を使おう。 []