ケニアの学校教育で2020年から中国語の授業が設定

概要
ケニアでは、2020年から4年生以降の選択科目として中国語の授業が設定される。

はじめに

ケニアは東アフリカに位置する。
ケニアは東アフリカに位置する。

東アフリカにあるケニアで、中国語の授業が必須になるというツイート [1] をしている人がいた。アフリカにおける中国の影響が強まっているとはいえ、さすがに必須というのは違うのではないかと思った。

私はケニアの情勢についてほとんどまったく知らないのだけれども、ネット上の資料を色々と見ていたところ、どうやら小学校4年生以上で選択科目として中国語の授業が設定されるだけだったということが分かった。

というわけで、調べた結果を以下に記しておきたいと思う。

ケニアの学校教育での中国語の授業

ケニアでは、2020年から後期初等教育、すなわち小学校4年生からの選択科目で中国語の授業が設定される (Dahir, 2019)。これはあくまでも選択科目であって、必須科目ではない。

ケニアの学制は、1985年から8-4-4制が導入されている。これは、初等教育が8年、中等教育が4年、高等教育が4年であることを表している。

2020年からは、2-6-6-3制もしくは2-6-3-3-3制と呼ばれる学制に変わる (Orinde, 2019; Nyamai, 2019)。就学前教育が2年、初等教育が6年、前期中等教育3年、後期中等教育が3年、高等教育が3年である。初等教育の6年間は、1年生から3年生までの前期初等教育 (lower primary) と4年生から6年生までの後期初等教育 (upper primary) に分けられる。

なお、後期初等教育での必須科目は以下の10科目である (Kenya Institute of Curriculum Development, 2019a:40–41)。

  1. 英語
  2. スワヒリ語またはケニア手話
  3. 家庭
  4. 農業
  5. 科学技術
  6. 数学
  7. 宗教(キリスト∕イスラーム∕ヒンドゥーのいずれか)
  8. 芸術
  9. 保健体育
  10. 社会

これら10科目のほかに、選択科目として以下の4科目が設定されている。

  1. 外国語(アラビア語∕フランス語∕ドイツ語∕中国語)
  2. 先住民族の言語
  3. ケニア手話
  4. 点字

前期中等教育でも同様に選択科目の外国語の中に中国語が設定されている (Kenya Institute of Curriculum Development, 2019a:49)。また、後期中等教育の社会科学コースでも外国語の中に中国語が設定されている (Kenya Institute of Curriculum Development, 2019a: 76)。

具体的教育内容

Kenya Institute of Curriculum Development (2019:228–261) に後期初等教育における中国語のシラバスが載っている。これを見ると、中国語での挨拶、自己紹介、家族や学校、色、時間、飲食物など比較的身近で簡単な内容を扱うようである。また、聞く、話す、読む、書くの4技能が扱われる。なお、シラバスを見るとピンイン(中国語のローマ字表記)を書くことが目標として挙げられているので、漢字の読み書きはしないのかもしれない。

参考文献

脚注
  1. ttps://twitter.com/KKawano5/status/1134082060312727552 []