日本語の複合語の省略において省略前の形態素のうち1モーラ分しか残らない事例

概要
「クレジットカード」の「カード」が省略されると、「クレカ」のように1モーラ分しか残らない事例を紹介する。

はじめに

日本語で複合語を省略する場合、省略前の形態素のうち2モーラ分が残ることが多い。例えば、「デジタルカメラ」が「デジカメ」になったり、「パーソナルコンピュータ」が「パソコン」になるたぐいである。これに対して、省略前の形態素のうち1モーラ分しか残らない事例はあまりない。この記事では、「クレジットカード」が「クレカ」になるような日本語の複合語の省略において省略前の形態素のうち1モーラ分しか残らない事例を挙げていきたいと思う。

漢字音が1モーラで表される例

漢語を省略したときに、残された漢字の音が1モーラで表されるために、1モーラ分しか残らないという例がある。

厳密に言うと、音ではなくて訓読みということになるが、以下の合成地名の例も上述の例に似たものだろう。

カタカナ語で、省略前に長音符がある例

残される1モーラの直後に、省略される前の形では長音符があるカタカナ語の省略の例は比較的良く見られる。例えば、「クレジットカード」では、「カード」の「カ」の後に長音があり、省略されるときには「クレカ」となって、この長音符は残らない。「クレカー」となっても良さそうなものであるが、なぜかこの長音符は消えるのである。

固有名詞にも類例がある。

昭和初期に発生した古い例として、「モボ」・「モガ」がある。これは「モダン」も1モーラになって、最終的には「1モーラ+1モーラ」の形になっている点で特異である。他の例は大概「2モーラ+1モーラ」か

「1モーラ+2モーラ」となるからだ。

また、以下の例も同様に「1モーラ+1モーラ」の形である。

その他のカタカナ語の例

その他の例

カタカナ語でない複合語の省略で、1モーラだけ残るのはあまりなさそうである。数少ない例を挙げると以下の通り。

人の姓名が略されて1モーラだけになることもある。