母音だけからなる日本語の文

母音だけで意外と長く文は書ける

日本語では母音だけからなる文 ^[1] を作ることができる。例えば、以下の文は全て母音から構成されており、子音は混ざっていない。

• 甥を負う。(Oi-o ou.)
• 上へアイアイを追う。(Ue-e aiai-o ou.)
• 居合を終え、青い絵を覆う。(Iai-o oe, aoi e-o oou.)

うまく考えれば、母音だけで意外と長く文を書くことができる。例えば、以下の母音だけで構成された文は72個の母音が連続している。

なお、これは、「愛について話し合う王様が年をとって、居合い術をだんだんとやめて、それ以後、優れた葵という植物を上の方に熱心に植えて、青色の魚を調味料と混ぜ合わせて調理して、サルの一種であるアイアイを手に入れて、硫黄が覆っている世捨て人が住むような小さな家に、主人の家を背負って立つ甥を追いかける」という意味だ。

母音だけからなる日本語の文を作る

以下では、母音だけからなる日本語の文を作る際に注意すべきことについて説明する。

助詞

母音だけで文を作ろうとする場合、ほとんどの助詞は使うことができない。使えるのは「へ」と「を」のみである。

主題や主語を表す「は」・「が」も使えないから、主題や主語を表したければ、助詞を省略するしかない。例えば、「甥がアイアイを追う」と言う代わりに、「甥、アイアイを追う」とすれば良い。

動詞

動詞は活用で形が変わるので注意が必要だ。例えば「会う」はそのままだと母音だけだが、「会わ（ない）」という形にすると母音でないものが混ざってしまう。母音だけの形にすることが大事だ。

また、「植える」や「老いる」は、言いきりの形だと母音だけではない。しかし、連用形にすると「植え」・「老い」と母音だけになる。このことをうまく利用すると母音だけの文を伸ばすことができる。例えば、「葵を植える」と言い切ってしまうと母音だけの文ではなくなってしまう。しかし、言い切りにせず「葵を植え（、絵を覆う）」とすると母音だけで次につなげることができるのだ。

感動詞

感動詞で母音だけからなるものは、「ああ」・「いいえ」・「ええ」・「おお」など色々ある。そして、これらを組み合わせれば、母音だけでかなり文を長くすることができる。例えば「ええ、ええ、いいえ、ああ、いいえ、ああ……」とすることができる。ただ、こうやって感動詞を連ねてもあまり芸がないだろう。

参考：母音だけからなる日本語の単語

参考として、母音だけからなる日本語の単語のリストを以下に掲げる。「植え（る）」や「老い（る）」のように「（る）」がついているものは、そのままでは母音だけにならないが、活用で形を変えれば母音だけになる。

また、各単語にはその歴史的仮名遣いを付した。現代の日本語では母音だけになっている単語であっても、かつては母音だけでなかったことがここから分かるだろう。

1. ただし、人によっては実際に読み上げるとき、発音の都合上、子音の一種である接近音が混ざってしまうことがある。 [↩]