はじめに
本日2013年12月1日は、マンガ『ドラえもん』の原作者である藤子・F・不二雄の80歳の誕生日に当たるそうだ [1] 。
これを記念してというわけではないと思うのだが、11月26日に『2ちゃんねる』に「ドラえもんの特殊顔文字できたwwwwwwwwwww」というスレッド [2] が立った。そのスレッドには、文字だけを使って『ドラえもん』の主要キャラクターの顔が表現されていた。以下に、同スレッドで紹介されていた顔文字を再現したものを掲げる。
こうした顔文字は、アクセント符号などのダイアクリティカルマークをつけることで作られている。どのようなしくみになっているのか以下で詳しく見ていこう。
特殊顔文字のしくみ
従来の顔文字は(-_-)や(^^)のように単純な記号で、単純な図像を表現するのみであった。しかし、近年様々な文字を組み合わせて、より表情豊かな顔文字が作られるようになった。これは、世界各地の文字を収録したUnicodeのしくみができたことと、Unicodeに対応したスマートフォンが普及したことによるところが大きい。ここでは、先ほどのドラえもんの顔文字のような、従来の顔文字と違った表情豊かな顔文字のことを特殊顔文字と呼ぶことにしよう。なお、特殊顔文字が多く掲載されているサイトとしては、i2symbolなどがある。
多くの特殊顔文字は、土台となる文字にアクセント符号などのダイアクリティカルマークをつけることで、顔を表現している。例えば、“a”を土台にして、ダイアクリティカルマークをつけることで、á, à, ằ, â, ǎ, ä などの結果が得られる。ダイアクリティカルマークは普通1つか2つくらいしかつけないものなのだが、たくさんつけることでより複雑な顔文字を作ることができる。
なお、文字をどう配置するかはアプリケーションによって挙動が異なるため、どのアプリケーションでも同じように特殊顔文字を表示できるわけではない。フォントが変わればずれてしまうし、字間の設定によってもおかしくなってしまう。
ドラえもんの特殊顔文字の構造
ところで、ドラえもんの特殊顔文字はどのような構造から成り立っているのだろうか? まずは、アニメーションの形で、構造の全体像を示そう。
上記のアニメーションを見れば分かるように、ドラえもんの特殊顔文字は、20字から成り立っている。このうち、顔文字の土台として用いられているのが、左括弧2つ [3] 、スペース2つ [4] 、右括弧2つ [5] である。これらにダイアクリティカルマークなどが付加されることで、ドラえもんのように見えるようになっているのだ。
以下で、ドラえもんの特殊顔文字の詳しい構造を見ていこう。
左側輪郭・ヒゲの構造
向かって左側 [6] の輪郭とヒゲがどのように成り立っているか説明しよう。顔文字の土台になっているのは、2つの左括弧である(画像(01)と画像(02)を参照)。
左から2番目の左括弧(画像(02)を参照)には、ダイアクリティカルマークが3つ付されており、これらがドラえもんの輪郭の一部分とヒゲを構成している。ヒゲは短い横棒 (Combining Short Stroke Overlay) で表現されている(画像(03)と画像(05)を参照)。また、左側輪郭の最上部がアキュート・アクセント (Combining Acute Accent) で表現されている(画像(04)を参照)。
左側の目、および鼻・口の構造
次に、向かって左側 [7] の目、および鼻・口の構造を見てみよう。顔文字の土台となっているのは、たった1つのスペース(画像(06)を参照)である。このスペースに6つのダイアクリティカルマークが載ることで、ドラえもんの顔の主要部分を表現しているのである。
目は、ブレーヴェ (Combining Breve) とフェルマータ (Combining Fermata) で作られている(画像(07)と画像(08)を参照)。
また、ダブルマクロン (Combining Double Macron Below) でドラえもんの鈴をぶら下げるヒモの部分が表現されている(画像(09)を参照。)。
鼻と口は、リングアバヴ (Ring Above) と垂直線 (Combining Vertical Line Below) それにサーカムフレックス (Combining Circumflex Accent Below) で構成されている(画像(10)から(12)を参照)。
右側の目の構造
向かって右側 [8] の目の構造は、左側の目の構造とよく似ている。
まず、顔文字の土台としてスペースが1つ(画像(13)を参照)あり、これに2つのダイアクリティカルマークが付随している。
目は左側と同様に、ブレーヴェ (Combining Breve) とフェルマータ (Combining Fermata) で作られている(画像(14)と画像(15)を参照)。
右側輪郭・ヒゲの構造
向かって右側 [9] の輪郭とヒゲの構造は、右側とほぼ同様である。まず、顔文字の土台になっているのは、2つの右括弧である(画像(16)と画像(20)を参照)。画像(16)に示された右括弧に3つのダイアクリティカルマークが載っている。
ヒゲは左側と同様に、2つの短い横棒 (Combining Short Stroke Overlay) で表現されている(画像(17)と画像(19)を参照)。また、右側輪郭の最上部がグレイヴ・アクセント (Combining Grave Accent) で表現されている(画像(18)を参照)。
おまけ
コピペ用
ドラえもんの顔文字のコピペ用のデータを以下に掲げる。おそらく、ほとんどの環境で文字がずれて表示されるはずだ。
ドラえもん:((̵̵́ ̆͒͟˚̩̭ ̆͒)̵̵̀)
のび太:ˡ̩˙̮̑͞͡˓̱ͯ˙̮̑͏͜ˉ̀ᵓ̗ͮ̕
しずか:˱ˏ́ˡ̩̀ʰ᷆͡͡˓̬ˡ̀͏͜ʰ᷆ᵓ̗̀̕ˎ̀˲
ジャイアン:(ᴑ̨̨̍̆͞͡ ͦ̆ ॑ᵓ̩̗̍
スネ夫:ˡ̗͐͐͟ˋ̨̮̑͞͞ˊ̮̑͏͜ʹ̍ᵓ̗ͥ
画像版
- 川崎市 藤子・F・不二雄 ミュージアム (2013年11月25日)「12月1日は先生の80回目のお誕生日です。」(ブログ)による。藤子・F・不二雄は1933年に生まれ、1996年に没した。 [↩]
- なお、当該スレッドは既に普通には見られない状態になっている。内容を見たい人は、まとめサイトに転載されたものを見ると良い。例えば、かつもくブログのまとめ、ワラノートのまとめ、ソニック速報のまとめ、キニ速のまとめなどがある。 [↩]
- アニメーションの中の番号で言うと、(1)と(2)に相当する。 [↩]
- アニメーションの中の番号で言うと、(6)と(13)に相当する。スペースなので、当然それ自体は目で見ることができない。 [↩]
- アニメーションの中の番号で言うと、(16)と(20)に相当する。 [↩]
- ドラえもん自身にとっては右側の頬に相当する。 [↩]
- ドラえもん自身にとっては右目に相当する。 [↩]
- ドラえもん自身にとっては左目に相当する。 [↩]
- ドラえもん自身にとっては左側の頬に相当する。 [↩]