はじめに
ここ1年ぐらいの間、言語研究に関する学会や研究会の開催情報をまとめて、このブログに載せるということをしてきた [1] 。その取りまとめ作業の際に、さまざまな学会や研究会の開催告知のウェブページを見る機会があった。こうした告知のウェブページの中には、情報が不十分だったり、はっきりしなかったりするものが少なくなかった。
さまざまな人に参加してもらいたいのであれば、開催告知にしっかり情報を書いておいた方が親切だろう。例えば、今まで研究会に参加したことがなかった人が、Google の検索などで研究会の情報にたどりついた場合、参加費用がかかるか分からずに心配になることもあるだろう。
以下では、さまざまな開催告知を見てきた私の経験から、開催告知にはどのような情報を載せておくとよいかということを記しておきたいと思う。
書いておくとよい情報
内容

当たり前のことだが、学会や研究会でどんなことが行われるかを書いておく必要がある。発表タイトルや発表要旨がしっかり載っていれば、参加を決めかねている人にとって大きな助けになる。
また発表者の協力を得る必要があるが、事前または事後にウェブ上で発表資料を公開しておくとよいだろう。そうすれば、参加できなかった人も色々見ることができる。研究成果が公開されれば、それはその学問に関わる人たちすべてにとって有益な財産になるだろう。
SlideShare など、発表資料を公開するためのウェブサービスもある。学会や研究会のウェブサイトに載せる代わりに、発表者にこうしたウェブサービスに資料を公開してもらい、告知ページからリンクを貼るという手もある。
日時
いつ始まり、いつ終わるかということもしっかり書く必要がある。参加人数が多くなりそうなイベントの場合は、開会時間だけでなく、開場時間も記しておくと便利である。
会場
開催会場を記すにあたっては、その住所も併記しておくとよいだろう。そうすると、参加者が行き方を調べるときに、住所から検索できて便利である。
また、複数のキャンパスがある大学を会場とする場合は、どのキャンパスか明示するようにしよう。
また、地図や交通案内も書いておくと便利である。会場となる大学のウェブサイトなどに大概地図や交通案内が載っているので、一から作るのが面倒ならば、それにリンクを貼るだけでもよいと思う。
参加費用
参加費用がかかるかどうかについても、開催告知に書いておくとよいだろう。無料ならばはっきり無料と書き、有料ならば金額を記そう。
複数日かけて行われる学会の場合、1日のみの参加費用と複数日の参加費用が違うのかについても書いておくと分かりやすい。
また、学生料金を設定していて、学生であるという証明を求めている場合は、 学生証を持ってきてほしいという旨をしっかり書いておくようにしよう。
参加資格
学会や研究会の会員以外が参加できるのか、明示しておくとよいだろう。
事前申込
事前申込が必要かどうかについても記しておくとよいだろう。事前申込の必要がない場合は、事前申込の必要がないと明示的に分かるようにしておくことが望ましい。事前申込が必要な場合は、(1) いつまでに、(2) どこに、申し込むべきかを記しておこう。
ちなみに、事前申込をメールで受け付けることがしばしば見られるようだが、Google フォームなどで申込フォームを作ってそれを使ったほうが楽だ。申込フォームを作るのは、決して難しくない。
なお、事前申込が必要かどうかに関わらず、問い合わせ先を書いておくと親切だ。
開催告知のウェブサイトへの載せ方
開催告知をウェブサイトに載せる場合、1回のイベントごとに独立したページに載せた方がよい。複数のイベントを1つのページに載せると後から探しにくくなる。
例えば、2017年の1月・3月・5月に研究会を開催するのであれば、以下のようにページを作っておく。
- 2017年1月の研究会: http://example.net/conf/201701.html
- 2017年3月の研究会: http://example.net/conf/201703.html
- 2017年5月の研究会: http://example.net/conf/201705.html
こうしておけば、別の場所から回を指定してリンクを貼ることができる。もしこれらの研究会が別々のページに分けられず、1つのページにまとめられていれば、回を指定してリンクすることが難しくなる。
URL はできるだけ変更しないようにしておきたい。URL が変わってしまうと、リンク切れが発生するおそれがあるからだ。また、過去のイベントのページはなるべく削除せずに残しておいた方がよい。例えば、過去の研究会の情報を見られるようにしておけば、その研究会で新たに発表をしようと考えている人が自分の発表内容がその研究会に合っているかを判断することができるだろう。
開催告知として PDF だけを載せている例もよく見られるが、これはあまり望ましくない。PDF を読みにくい環境もある。PDF だけにするのではなく、HTML 上にも必要な情報を書いておこう。
分かりやすい開催告知の例
次に、分かりやすい開催告知の実例を見ていきたいと思う。
最近見た告知の中では、関西英語教育学会の2016年度(第21回) 研究大会の告知が分かりやすかった。例えば、会費の説明では学生の参加費用の支払いについて、「学生証をご提示下さい。提示がない場合は一般参加費となります。」と必要な情報をしっかりと書いてある。また、単に「学生」とせずに、「学部学生・大学院生」と範囲をさらに明確にしている点もすばらしい。
さらに、この告知では、プログラムとして単に PDF だけを載せるのではなく、発表タイトルなどを HTML 上にも表示している。これもすばらしい所だと思う。
まとめ
今までの繰り返しになるが、開催告知に載せておくとよい情報を以下にまとめておく。何かの参考にしていただければ幸いである。
- 内容
- 発表者
- 発表タイトル
- 発表要旨
- 可能ならば、発表資料などを載せる
- 日時
- いつ始まるか
- いつ終わるか
- その他スケジュールの詳細
- 会場
- 会場名
- 会場の住所
- 会場への地図・交通案内
- 参加費用
- 参加資格
- 事前申込の必要の有無
- 必要ならば、いつまでに申し込むべきか、どこに申し込むべきかを記す
- 問い合わせ先
- 例えば、「2017年3月の言語研究関連イベント」など。取りまとめに時間がかかるので、2017年3月をもってまとめをすることはやめた。 [↩]
- Pixabay より ijmaki 氏のパブリックドメイン画像を使用。 [↩]