菅義偉首相の日本学術会議新規会員任命拒否に対して言語研究関係の学会が出している声明のまとめ

概要
菅義偉首相が不当にも日本学術会議の新規会員任命を拒否したことに対し、言語学を中心とした言語研究に関係する学会がどのような声明を出しているかについてまとめる。

前提

2020年の9月、菅義偉首相が日本学術会議の新規会員として推薦された者のうち6人を任命しなかったという事件が起きた [1] 。この菅首相による任命拒否は不当なものであると多くの識者が指摘している [2]

この事態に対し、当事者である日本学術会議は、推薦されたにも関わらず任命されなかった候補を任命することなど求めた「第25期新規会員任命に関する要望書」を菅首相に提出している。さらに、理科系の93学会がこの事態に対して憂慮している旨の声明を出している [3] 。この「日本学術会議第25期推薦会員任命拒否に関する緊急声明」は日本数学会のウェブサイトなどで読むことができる。

調査手法

本稿では、今回の日本学術会議の新規会員任命拒否問題に関し、言語学を中心とした言語研究に関係する学会どのような声明を出しているかについてまとめる。なぜ言語研究に関係する学会に着目したかというと、単に自分が一番慣れ親しんだ学問領域であるからである。

調査対象とする学会は以下のようにして選んだ。

  1. 日本学術会議の協力学術研究団体となっている学会のうち、言語学・言語教育など言語研究に関わる学会
    • 日本学術会議の協力学術研究団体の一覧である「学会名鑑」から、人文・社会科学のうち「言語・文学」分野に属する学会のリストを取得。このリストから言語研究に関する活動をしている学会を目視で選択した。
    • 「言語・文学」分野に属する学会には、ほとんどもっぱら文学研究を扱う学会もあるが、こうした学会は調査対象としなかった。ただし、言語研究と文学研究の両方を扱う学会は調査対象に含めている。
  2. 言語系学会連合に所属している学会

上記の基準で選んだ学会のウェブサイトを見て、任命拒否問題に関して声明があるかどうかを確認した。ウェブサイト以外の場所に声明を載せている学会もあるかもしれないが、そこは調査しきれていない。なお、ウェブサイトを見て確認したのは2020年10月18日午前である。もしかしたらそれ以降に声明を出した学会もあるかもしれないが、そこは追いきれていない。

任命拒否問題について声明を出している学会

任命拒否問題について声明を出している言語研究関係の学会としては、以下のものがあった(声明を出した日が早い順に配列)。

学会ウェブサイトに任命拒否問題について特に記載がなかった学会

2020年10月18日午前に学会ウェブサイトを見て、任命拒否問題について特に記載がなかった言語研究の学会としては以下のものがある。先に触れたように、実際には声明を出しているのに、ウェブサイトに載せていないために確認できていない学会があるかもしれない。

抗議
抗議 [4]
脚注
  1. 池田知広・柳楽未来・岩崎歩.(2020年10月1日).「菅首相、日本学術会議『推薦候補』6人の任命拒否 『共謀罪』など批判、政治介入か」『毎日新聞』 []
  2. 例えば、堀新弁護士の「日本学術会議の会員任命拒否は何が問題か」という解説を参考のこと。 []
  3. 毎日新聞.(2020年10月11日).「93学会『憂慮』声明 『政府、意見に耳ふさぐ』 学術会議人事」 []
  4. Pixabayのパブリックドメイン画像を利用 []