文部科学省から大学に教授として再就職した人物の博士号取得状況

概要
2013年4月1日から2016年9月30日の間に、文部科学省から大学に教授として再就職した人物で博士号を持っている人物はいない。

博士号を持たない文科省の元職員が大学の教授に

千葉大学高等教育研究機構の大西好宣教授が『朝日新聞』に「文科省天下り 教授職、博士号ゼロは異常」という文章を寄稿していた。その文章の中で、文部科学省から大学に教授として「天下り」した人物博士号を持っている人がいないことが触れられていた。大西教授は、大学教員は基本的に博士号を持つようにするという国の方針からすると、このことは異常だと述べていた。

大西教授は参議院予算委員会でのやりとりから、文科省の「天下り」教授に博士号持ちがいないことを知ったと述べているが、『朝日新聞』の記事には具体的に何月何日のやりとりかは書いていなかった。

参議院でのやりとり

と言うわけで、私の方で参議院の会議録を調べてみたところ、2017年3月1日の参議院予算委員会でかわされたやりとりであることが分かった。その日の会議録は以下から読むことができる。

次に、具体的にどう言ったやりとりがあったのかを記しておこう。

文科省からの再就職者の博士号取得状況

2017年3月1日の参議院予算委員会において、民進党の藤末健三議員が文部科学省の元職員で大学に教授として再就職した人物が博士号を持っているかという質問をした。これに対して、文部科学省の中川健朗サイバーセキュリティ・政策評価審議官が答弁をしている。その答弁によれば、2013年4月1日から2016年9月30日の間に文科省から大学に教授として再就職した15人で博士号持ちは0人であるとのことである [1]

国交省からの再就職者の博士号取得状況

なお、藤末議員は、国土交通省に対しても同様の質問をしている。石井啓一国土交通大臣の答弁によれば、同省から大学に教授として再就職した26人で博士号持ちは23人いたとのことである [2]

質問した議員の博士号取得状況

ちなみに、この質問を提起した藤末議員自身は、東京工業大学と早稲田大学から博士号を得ているとのことである [3]

脚注
  1. 文化庁長官の2名はこの再就職した15人に含まれていない。 []
  2. 23人のうち、事務系が3人、技術系が20人。 []
  3. 国立国会図書館のデータベースを見ると、1999年に東工大から An empirical analysis of the structural factor facilitating Japanese firm′s international R&D activities in the latter 1990s という論文で博士(学術)を授与され、2013年に早大から「政権交代が民主党のFTA政策の決定に及ぼしたインパクト」という論文で博士(学術)を授与されたようだ。 []