日本で統計やデータサイエンスを学びたい場合、どんな大学に進学すれば良いか

概要
日本には統計やデータサイエンスを中核にした学部・学科はほとんどないので、それ以外の学部・学科で統計やデータサイエンスを専門とする教員がいるところを探すのが無難だと思われる。

はじめに

日本の大学で統計やデータサイエンスを学びたい場合、どんなところに進学するのが良いだろうか。そのヒントとなる情報をいくつか紹介していきたいと思う。

データサイエンスを中核とする学部で学ぶ

進学先として「統計学部」や「データサイエンス学科」といったところがあれば分かりやすいのだが、日本の大学にはそういった学部・学科はほとんどない [1]

このような状況の例外として、2017年4月に新設される滋賀大学のデータサイエンス学部がある。これはその名の通り、データサイエンスを中核とする学部だ。このほか、同志社大学の文化情報学部もデータサイエンスを中核とする学部と言えるだろう [2]

その他の学部で学ぶ

統計やデータサイエンスを専門とする教員がいる学部・学科にはさまざまものがあり、なかなかしぼりにくい。 [3]

「統計学部」や「データサイエンス学科」という名前が付いていなくても、統計やデータサイエンスを専門としている教員がいる学部・学科は少なくない。だから、意外なところで統計やデータサイエンスを学べる可能性がある

以下、統計やデータサイエンスの専門家がいることのある学部・学科の事例をいくつか挙げてみたいと思う。

理学部
数学科に数理統計学の専門家が所属していることがある。例えば、広島大学の理学部数学科には数理統計学講座がある。
工学部
工学部にもデータサイエンスの専門家が所属していることがある。例えば、東京大学の工学部計数工学科には、数理情報工学コースがある。
経済学部
経済データなどを分析する立場からの統計の専門家が所属していることがある。
文学部
言語学関係の学科で、人間の言葉を研究する立場からテキストデータの分析の専門家が所属していることがある。また、心理学系の学科には、心理学で統計がよく用いられることもあり、心理統計の専門家が所属していることがある。
教育学部
教育心理学系の学科にも、心理統計の専門家が所属していることがある。例えば、岡山大学教育学部には教育心理学講座があって、心理統計を扱っている教員がいる。
社会学部
社会学でも、社会のさまざまな現象を統計的に扱うことがあり、統計を用いた研究の専門家が所属していることがある。なお、「社会学部」として独立した学部があるのではなく、他の学部の中に社会学を扱うコースが置かれているという場合もある。(2017年2月19日:社会学部に関する説明を追記)
医学部
医療統計・生物統計の専門家が所属していることがある。例えば、東京大学の医学部健康総合科学科には疫学・生物統計学教室がある。なお、医療統計に興味があるヒトは、Togetterまとめの「医療統計の道に進むには?」という記事が参考になるかもしれない。

今の時点で、統計やデータサイエンスを学びたいのであれば、こうしたところから探していく手があるだろう。

特別の教育プログラムで学ぶ

普通の学部・学科とは別に、統計やデータサイエンスに関する教育プログラムを設けている大学もある。いくつか例を挙げよう。

ただ、こうしたプログラムは、大学院生向けだったり、社会人向けだったりするので、高校を出たばかりの人には向かないかもしれない。

脚注
  1. 海外に行けば、統計学部 (department of statistics) は結構ある。日本においてこうした学部がほとんどないことについては、三中信宏氏の「日本における「統計学部」ロスの影響」という記事も参照のこと。また、一応、日本の文部科学省もデータサイエンス教育の拠点校を創ろうとしているようである。詳細については、2016年12月に文部科学省が出した「「数理及びデータサイエンスに係る教育強化」の拠点校の選定について」を参照のこと。 []
  2. なお、大学院レベルになると、総合研究大学院大学複合科学研究科統計科学専攻というのもある。 []
  3. Pixabay より Peggy_Marco氏のパブリックドメインの画像を使用。 []