中国語で『論語』は何と言うか

概要
中国語で『論語』の「論」の字は普通の読み方とは違う読み方をし、lún となる。

『論語』の発音

孔子の言行録の『論語』は、中国語では“论语Lúnyǔ となる [1]

『論語』は、中国語では“论语” Lúnyǔ となる。
『論語』は、中国語では“论语” Lúnyǔ となる。

“论”という字は普通は lùn と第四声(去声)で発音するが、『論語』を指すときに限り、lún と第二声(陽平)で発音するならわしになっている。実際、中国大陸で最も広く使われてい現代中国語辞典の1つである《现代汉语词典 第6版》(商务印书馆,2012)では、lún という発音の“论”という字 [2] に対しては、『論語』という語釈しか与えていない。また、台湾(中華民国)の教育部が編んだ教育上の標準の1つである《國語一字多音審訂表》(教育部,1999)では、“論”という字を第二声で読むことを『論語』という単語のときのみに限定している。

ただし、“论语”以外で“论”という字を lún と読む例がないわけではないらしい。例えば、台湾のオンライン中国語辞典である《教育部重編國語辭典修訂本》の“論”の項目では、lún と読む例として姓としての“論”を挙げている。また、中国大陸で出ている古典中国語辞典の《古漢語常用字字典〔繁體字本〕第4版》(商務印書館,2012)では、“倫”に通じて“論”を用いるときは lún と読むとしている。“倫”という字が lún と読むことを受けてのことであろう。

脚注
  1. “论语”は簡体字での表記である。繁体字では“論語”となる。 []
  2. 厳密に言うと、《现代汉语词典 第6版》では、lún という小文字始まりでなく、Lún という大文字始まりで掲載されている。おそらく『論語』という固有名詞についてのみしか使われないために、初めから大文字始まりで掲載しているのであろう。 []