MCMCは何の略か

概要
MCMCという語は統計の分野でよく使われる略語であるが、他の分野で別の意味の略語として使われることもある。

マルコフ連鎖モンテカルロ

MCMC
MCMC

MCMC という言葉は統計の分野でよく出てくる。

そもそもMCMCって何?

「もてて困るもてて困る」じゃなくて「マルコフ連鎖モンテカルロ法」(Markov Chain Monte Carlo method)の略です。多変量の確率分布からサンプルを抽出する(乱数を生成する)ためのアルゴリズムのひとつ。

伊庭幸人.(2015). 「2ページでわかるMCMCの秘密」『岩波データサイエンス Vol.1』(pp. 17-18),東京:岩波書店.

上記の引用文にもあるように、統計分野におけるMCMCとは、「もてて困るもてて困る」(Motete Comaru Motete Comaru) の略ではなく、「マルコフ連鎖モンテカルロ」(Markov Chain Monte Carlo) の略である。この手法は現在の統計分析で非常によく使われている。

「マルコフ連鎖モンテカルロ法」の「マルコフ」とはロシアの数学者アンドレイ・マルコフのことである。アンドレイ・マルコフは、確率論で大きな業績を残した人物である。マルコフ連鎖はマルコフが考えた状態変化に関するモデルの1つである。非常に大ざっぱに言えば、マルコフ連鎖では、次に来る状態の確率は、現在の状態だけから決まり、現在より前の状態に影響されないと考える。例えば、明日の天気が晴れになる確率は、今日の天気が何であるかによって決まり、昨日以前の天気には影響されないといった形で、天気の状態変化をモデル化する。こうしたモデルは単純すぎるように思われるかもしれないが、単純であるがゆえに強力な面があり、状態変化をモデル化するときにマルコフ連鎖は広く使われている。

また、「マルコフ連鎖モンテカルロ法」の「モンテカルロ」は西ヨーロッパにあるモナコ公国という国にある地名である。モンテカルロにはカジノがあることで有名である。モンテカルロ法とは、このカジノがある地名にちなんだもので、大ざっぱに言えば、乱数を何度も使って数値計算を行う手法である。ちなみに、カジノにちなんだ統計手法として、ラスベガス法というものもある。

マルコフ連鎖モンテカルロ法では、現在の状態だけを使って新しい状態を出すようにしている。この点でマルコフ連鎖を用いている。また、マルコフ連鎖モンテカルロ法では、計算の際に乱数を何度も使っている。この点でこの手法はモンテカルロ法の一種となっている。これらが、この手法をマルコフ連鎖モンテカルロ法と呼ぶゆえんである。

なお、マルコフ連鎖モンテカルロ法について学びたい人は、まずは『データ解析のための統計モデリング入門』という本を読むと良いだろう。

マレーシア通信マルチメディア委員会

マレーシア通信マルチメディア委員会 (Malaysian Communications and Multimedia Commission) も MCMC と略される。これは、マレーシアにおいて、通信・放送などの規制にあたる独立機関である [1]

その他

脚注
  1. 総務省.(2015). 「マレーシア」『世界情報通信事情』. []