複数種類の文字体系が含まれる紙幣

概要
ラテン文字・ギリシャ文字・キリル文字の3種類の文字体系が含まれるユーロ紙幣など、複数種類の文字体系が含まれる紙幣について紹介する。

ユーロ

2013年から発行が始まった新しいユーロ紙幣には、「ユーロ」を表す文言が3種類の文字体系で書かれている。

2002年のユーロ紙幣導入当初は、ラテン文字とギリシャ文字しかなかった。しかし、ブルガリアが2007年にEUに加盟したことを踏まえ、2013年から発行が始まった新しいユーロ紙幣にはキリル文字が含まれるようになった [1] 。ブルガリアで主に使われているブルガリア語はキリル文字を用いて表記するためだ。なお、ブルガリアはEUに加盟しているが、ユーロ圏には入っていない。

人民元

中国の人民元紙幣には以下の5種類の文字体系が記されている。

チベット文字は、インドのブラーフミー系文字に由来する。人民元紙幣には、ヨーロッパのラテン文字、中東のアラビア文字、はたまたインドや中国にみなもとがある文字が含まれていることになる。ユーラシア大陸の東西の文字体系が見事に同居を果たしている紙幣と言えるかもしれない。

インドルピー

インドルピー紙幣の表面には、英語とヒンディー語の2言語が記されている。さらに、裏面には、アッサム語・ベンガル語・グジャラート語・カンナダ語・カシミール語・コンカニ語・マラヤーラム語・マラーティー語・ネパール語・オリヤー語・パンジャーブ語・サンスクリット語・タミル語・テルグ語・ウルドゥー語の15言語が記されている [3] 。合わせて、17言語ということになる。これらの言語のほとんどはブラーフミー系文字で表記されているが、カシミール語・ウルドゥー語はアラビア文字、英語はラテン文字を用いている。

脚注
  1. European Central Bank. (n.d.). Europa Series Design.(2017年5月28日閲覧) []
  2. チワン語だけでなく、中国語のピンイン表記でもラテン文字は用いられている。 []
  3. Reserve Bank of India. (n.d.). Bank Notes: Language Panel on Notes. (2017年5月28日閲覧) []