「この春から統計を学びはじめたい!」という人のための書籍7冊(2017年4月版)

概要
統計をあまりよく知らない人が、統計の勉強をはじめるときに役立つ書籍について。おすすめの書籍を7冊紹介。

はじめに

この記事では、統計についてあまりよく知らない人が、統計を学びはじめるときに役に立つ書籍を紹介したいと思う。まず、前半では、統計のまったくの初心者が勉強するときに役立つ書籍を3冊紹介する。後半では、前半に挙げた書籍の内容を大体理解した人が、その理解を定着させるために役立つ書籍を4冊紹介する。

まったくの初心者のために

まったくの初心者が、統計を勉強したいというときに一番おすすめなのが、『マンガでわかる統計学』だ。

マンガだからと言って、あなどってはならない。この本はかなりしっかりと組み立てられていて、統計の基礎の基礎がしっかり押さえられるようになっている。この本についてのさらに詳しい紹介が「統計学の初心者が入門として最初に読むべき一冊」という記事に書いてあるので、適宜参照していただければと思う。なお、似たようなタイトルの本がいろいろあるので、選ぶときには注意されたい。ここで紹介している『マンガでわかる統計学』は、オーム社から出ているもので、女子高生が表紙になっている。

また、初心者にとっては以下の本も役立つだろう。

この本については、このブログに「数学好きから統計好きに――『数学ガールの秘密ノート/やさしい統計』」という紹介文を載せてある。気になった人はそちらを見てみるとよいだろう。

統計をしっかりと理解するためには、数学についてある程度分かっているとよい。うれしいことに、統計の基礎を理解するときに役立つ数学について分かりやすくまとめた『統計学のための数学教室』という本がある。

この本を使えば、統計の基礎を理解するのが楽になるだろう。「統計を勉強するときに数学に悩まされる人のための一冊」という紹介文があるので、気になった人はそちらを見てみるとよいだろう。

初心者から一歩抜け出すために

次に、統計の基礎の基礎を学んだ人が、さらにその理解をしっかりさせるために役立つ書籍を紹介しよう。

まずは、定番書として、東京大学出版会から出ている『基礎統計学I 統計学入門』という本を挙げておきたい。

この本は「入門」という名前は付いているけれども、まったくの初心者には向かない。だが、ごく簡単な入門を学んだあとの段階なら、非常に有益だ。このあたりのことについては、「東京大学出版会『統計学入門』は入門を一通り終えた人におすすめ」という記事で詳しく述べているので、参考にしてほしい。

あとは、統計の教科書というわけではないけれども、教科書と一緒に使うと効果的な副読本がある。それは、『統計的方法のしくみ』という本だ。

この本については「統計の初心者のつまずきやすい点が分かる『統計的方法のしくみ』」という記事で詳しく書いたが、普通の教科書を使っているとつまずきやすいところがよく分かるものになっている。『基礎統計学I 統計学入門』と一緒に使うとよいかと思う。

つまずきやすいところをおさえた書籍と言えば、手前味噌だが、私が訳した『ダメな統計学』という本もある。

この本では、科学においてさまざまな統計の誤用が行われていることが説明されている。この本に載っている内容を反面教師として考えるのもよいかと思う。「 『ダメな統計学――悲惨なほど完全なる手引書』の翻訳出版」という記事でこの本についてもっと詳しく説明しているので、そちらも適宜参照していただければと思う。

最後に、『Rで楽しむ統計』という本を紹介したい。なお、 R は、統計分析でよく使われるソフトの1つ。

この本には、普通の統計の教科書にあまり載ってはいないものの、実際の統計分析には有用な考え方が色々と載っている。挙げられている事例も興味深いものが多い。

今回紹介する本の中ではこの本が一番難しいかと思う。特に、9章以降は、統計を勉強しはじめた人にとってはつらいかもしれない。ただ、この本は、難しそうなところをとばしても、有益な知識が得られる構造になっているので、初心者に近い人でも得るものは大きいかと思う。

もっと勉強したい人のために

もっと統計を勉強したい人は、以下の書籍紹介なども参考にすると良いだろう。

それでは、統計を勉強する人に幸多からんことを。