日本の血液型性格診断が台湾の大学入学希望者向け共通試験に取り上げられる

概要
2016年1月に行われた台湾の大学入学希望者向け共通試験の英語の問題において、日本の血液型性格診断に関する文章が出された。

血液型性格診断とは

日本では、血液型性格診断が広く一般に信じられている。この血液型性格診断とは、ABO血液型によって、性格が決まるという説だ。

ただし、実際には、血液型と性格の間には関連が無いという研究結果が得られている [1] 。そして、血液型で性格が決まるというのは疑似科学と言って過言ではない [2]

台湾の大学学科能力測験での血液型性格診断の出題

台湾には、大学入学希望者向けの共通試験として、大学学科能力測験というものがある。これは、年に1回行われ、主に高校1・2年生で習った国語・数学・社会・英語・自然科学の内容を問うものである。位置づけはやや異なるものの、日本で言えばセンター試験のようなものだ。

2016年度(民国105年度)の大学学科能力測験は2016年1月22日と23日に行われた。そのうち、2日目の23日に行われた英語の試験の中で、日本での血液型性格診断を扱った英文が出された

この2016年度の大学学科能力測験の英語において、大問4が長文読解問題になっている。この大問には4種類の長文が出されているのだが、その1つ目が日本での血液型性格診断を扱うものになっている。実際の問題のPDFは、台湾の大学入学考試中心のウェブサイトで公開されている。このPDFの4ページ目に血液型性格診断に関する長文が載っている。おそらくこの長文は、日本の血液型性格診断を扱ったBBCの記事 [3] を再構成したものである。試験に出された長文には、BBCの記事の内容をもとに新たに作った部分もあるし、表現をそのまま使っているところもあるのだ。元々の記事はかなり長いので、そのままでは試験に出しづらく、適宜カットすることになったのだろう。

さて、実際に試験に出された長文の内容をかいつまんで紹介すると、以下のようになる。

この長文に対して、4つの問題(テスト冊子内では小問41-44に相当)が出されている。

  1. 日本の血液型に対する著者の態度はどうか?
  2. 本文の例からすると、どの血液型が日本で一番好まれていないと推測されるか?
  3. なぜ松本龍総理大臣 [4] は辞職したのか?
  4. 本文で血液型による影響を受けているということが書かれていない分野はどれか?

ちなみに、大学入学考試中心の2016年度の試験結果の統計によれば、正答率は上から順に46%, 69%, 32%, 76%であったという。

脚注
  1. 縄田健悟.(2014). 「血液型と性格の無関連性」『心理学研究』85(2), 148-156.http://doi.org/10.4992/jjpsy.85.13016 []
  2. 明治大学科学コミュニケーション研究.(2015, August 17). 「血液型性格診断」『疑似科学とされるものの科学性評定サイト』 Retrieved November 05, 2016, from http://www.sciencecomlabo.jp/fortune-telling/blood_type.html []
  3. Evans, R. (2012, November 5). Japan and blood types: Does it determine personality? http://www.bbc.com/news/magazine-20170787 []
  4. この問題では松本龍が総理大臣 (prime minister) になっているが、実際には松本龍はただの大臣 (minister) になったに過ぎない。おそらく、本文中の血液型を明かした総理大臣の話と、松本龍大臣の辞職の話を混同して作問したのだと思われる。作題者の英語読解能力と、校閲能力が気になる問題ではある。 []