日本語だとなんともないが、中国語になると発音が難しくなる日本人の名前

概要
「赤池 治子」(あかいけ はるこ)が“Chìchí Zhìzǐ”(ツーツー ツーツー)になるように、中国語で音の違いを区別して発するのが難しい日本人の名前の事例紹介。

日本人の名前の中国語での発音

中国語では日本人の名前を中国語の漢字音で発音する。例えば、「やまろう」という名前は、中国語では「サンティエン タイラン」(Shāntián Tàiláng) と発音する。日本語での発音とはかなり違ったものになるのだ。

さて、日本語では普通の名前なのに、中国語になるととたんに発音が難しくなるような名前が存在する。例えば、「あかいけはる」という名前は、日本語では発音しにくいということはない。だが、中国語になると「ツーツー ツーツー」(Chìchí Zhìzǐ) という発音になる。日本語の片仮名で表記すると、この名前の4つの漢字はすべて「ツー」にしかならないのだが、実は中国語では音がそれぞれ異なっている。こうした音の違いを区別して発するのは、中国語の学習者にとってはなかなか難しいことである。

中国語での発音が難しい日本人の名前の事例

学習者にとって中国語での発音が難しいと考えられる日本人の名前の例をいくつか挙げてみたい。

中国語での発音が難しい日本人の名前の事例
日本語(漢字)日本語読み仮名中国語(漢字)中国語ピンイン中国語をあえて片仮名で表したもの
青井 琴あおい こと青井 琴Qīngjǐng Qínチンチン チン
赤池 治子あかいけ はるこ赤池 治子Chìchí Zhìzǐツーツー ツーツー
飯豊 芳晃いいとよ よしあき饭丰 芳晃Fànfēng Fānghuāngファンフェン ファンフアン
石寺 史嗣いしでら ふみつぐ石寺 史嗣Shísì Shǐsìスースー スースー
板阪 伴邦いたさか ともくに板坂 伴邦Bǎnbǎn Bànbāngパンパン パンパン
岡 康剛おか やすたけ冈 康刚Gāng Kānggāngカン カンカン
東藤 登とうどう のぼる东藤 登Dōngténg Dēngトンテン トン
長倉 璋ながくら あきら 长仓 璋Chángcāng Zhāngツァンツァン ツァン
舛川 創ますかわ はじめ舛川 创Chuǎnchuān Chuàng ツウァンツウァン ツウァン
吉崎 祭よしざき まつり吉崎 祭Jíqí Jìチーチー チー

これらの名前の発音が難しくなる理由としては以下のものが挙げられるだろう。

  1. 声調の違いを区別して発音するのが難しいこと
  2. 有気音と無気音を区別して発音するのが難しいこと(例えば、“冈 康刚”という名前での k と g の区別など)
  3. いわゆる前鼻音 (-n) と後鼻音 (-ng) を区別して発音するのが難しいこと(例えば、“板坂 伴邦”という名前での an と ang の区別など)
  4. そり舌音とそうでないものを区別して発音するのが難しいこと(例えば、“石寺 史嗣”という名前での sh と s の区別など)

上で挙げたような名前の人が中国語を勉強するとしたら、自分の名前を正確に発音するだけで大変だろう。ただ、声調や有気音・無気音の区別などは、別に名前に限らず、他の単語を発するときにも発生する問題である。だから、自分の名前の発音が難しかったとしても、自分の名前でたくさん練習することで、他の単語の発音にも生かすことができるとポジティブに捉えた方が良いかもしれない。