日本語での読み方に気をつけたい中国系の姓

概要
中国系の姓で日本語で読み誤りやすいものについてのリスト。

はじめに

最近、中国系の姓を間違えて発音している例を何度か見た。例えば、「任」という姓の人がいて、自分の姓のことを日本語で「ニン」と述べたことがあった。なるほど、「任務ニンム」や「責任セキニン」のように、日本語では「任」を「ニン」と読むことが多い。だが、姓として読むときは、「ジン」と読むのだ。『史記』を書いた司馬遷が友人に送った手紙に「ジン少卿ショウケイに報ずる書」というものがある。「任少卿」は司馬遷の友人の名前で、「任」が姓で、これを「ジン」と読み慣わす。

この例に限らず、誤った読み方になっている例は少なくない。こういったことを防ぐために、以下で日本語での読み方を気をつけたい中国系の姓を挙げていきたいと思う。

なお、中国系の人名の読み方の一般的なルールについては以前書いた「中国系の人名の日本語での読み方」という文章を参考にされたい。

誤って呉音で読まないようにしたい例

日本での漢字の読み方には漢音によるものと呉音によるものがある。中国系の姓は漢音で読むのを原則とするが、誤って呉音で読んでしまう例が見られる。先ほどの「任」の例もそうである。

誤って呉音で読まないようにしたい例
読み方備考
テイチョウではない
バンマンではない
ボクモクではない
ブンモンではない
ベイマイではない
ジンニンではない
リョロではない
セではない
マではない
バクマクやボではない
コウオウではない
バイマイではない
端木タンボクタンモクではない
ブンモンではない

姓として読むときは特別な読み方をする例

漢音と呉音の違いとは別に、姓として読むときは特別な読み方をする漢字がある。例えば、「沈」という字は「沈没」(チンボツ)や「沈降」(チンコウ)のように「チン」と読むのが普通だが、姓として読むときは、「シン」と読む。南朝の文学者である「沈約」は「シンヤク」と読み、明代の芸術家である「沈周」は「シンシュウ」と読む。

姓として読むときは特別な読み方をする例
読み方備考
オウクではない
毋丘カンキュウブキュウではない [1]
ショウコウではない
シンチンではない
ゼンタンではない
ウンインではない
尉遅ウツチイチではない
フウヒョウではない

他の漢字と紛らわしい例

他の紛らわしい漢字と誤って読まれることもある。以下に掲げる姓は、備考に掲げる字とは別なので気をつけたい。

他の漢字と紛らわしい例
読み方備考
ベン「下」とは別字
「母」とは別字
ゼン「再」とは別字
シャ「余」とは別字
「傳」とは別字
「翟」とは別字

漢字の一部の読みに引きずられやすい例

「岑」という姓には、「今」という部分が含まれている。この「今」に引きずられて「コン」とか「キン」と読んでしまいそうになるが、「岑」は正しくは「シン」と読む。このように漢字の一部の読みに引きずられやすい例としては以下のようなものがある。

漢字の一部の読みに引きずられやすい例
読み方備考
シンコンやキンではない
ヨウチョウではない
ゲイジではない
ショウシュクではない

朝鮮語の読みに引きずられやすい例

朝鮮系の人に多い姓だと、中国系の人であるのに朝鮮語の読みに引きずられることがある。中国系の人に対して、朝鮮語の読みを用いるのは奇異なので、引きずられないようにしたい。

ただし、中国国籍を持つ人の中に、朝鮮民族の人は少なくない。そういった人は、朝鮮語の読みで読まれることを好むかもしれないので、どうやって読めば良いのかは個別に確認すべきである。

朝鮮語の読みに引きずられやすい例
漢字読み方備考
ボクパクとするのは朝鮮語の読み方
キンキムとするのは朝鮮語の読み方
脚注
  1. 「毋丘」の「毋」は「貫」という漢字の上の部分と同じなので、「カン」になるのだ。 []