『オックスフォード英語辞典』にツイッターの「ツイート」が収録

概要
2013年6月に、世界最大の英語辞典『オックスフォード英語辞典』において、“tweet”の項目に「ツイッターでつぶやく(こと)」という意味が加わった。

異例の速さでの収録

『オックスフォード英語辞典』(Oxford English Dictionary; OED)は世界最大の英語辞典である。そして、最も権威のある英語辞典の1つでもある。この『オックスフォード英語辞典』のオンライン版に、2013年6月のアップデートで“tweet”という単語 [1] に「ツイッターでつぶやく、ツイートする」(動詞)、「ツイッターでつぶやくこと」(名詞)という意味が加わった。ツイッターがサービスを開始したのは2006年なので、この意味が生じてからたった7年で『オックスフォード英語辞典』に収録されたことになる。

7年というのは異例の速さである。実は、『オックスフォード英語辞典』には、10年使用され続けないかぎり収録しないという規則がある。“tweet”の新しい意味は、この規則を破って収録されたのである。『オックスフォード英語辞典』のブログの“A heads up for the June 2013 OED release”という記事では、以下のように“tweet”のアップデートを報じている。

The noun and verb tweet (in the social-networking sense) has just been added to the OED. This breaks at least one OED rule, namely that a new word needs to be current for ten years before consideration for inclusion. But it seems to be catching on.

(訳:(ソーシャルネットワーキングの意味での)“tweet”という名詞と動詞が『オックスフォード英語辞典』にたった今収録されました。このことは、『オックスフォード英語辞典』の規則を少なくとも1つ破っています。すなわち、新しい単語は、追加を検討する前に、10年間用いられなくてはならないという規則です。ですが、それは意味が分かるでしょう。)

’Simpson,

実際の語釈

というわけで、『オックスフォード英語辞典』にTwitterの「ツイート」が収録された。これには、名詞の用法と動詞の用法がある。それぞれについてどういう語釈がなされているか見てみよう。

名詞

名詞としての“tweet” [2] は以下のように定義されている。

A posting made on the social networking service Twitter.

Each posting is in the form of a text-based message of up to 140 characters.

tweet, int. and n. (2013, June). In Oxford English Dictionary. Retrieved from http://www.oed.com/view/Entry/207978#eid289498855

つまり、「ソーシャルネットワーキングサービスのツイッターでなされる投稿。各投稿は140字以内の文字からなるメッセージの形を取る」という意味になる。

動詞

動詞としての“tweet” [3] は自動詞の用法と他動詞の用法 [4] が収録されている。まず自動詞の用法の語釈から見てみよう。

intr. To make a posting on the social networking service Twitter. Also: to use Twitter regularly or habitually.

tweet, v. (2013, June). In Oxford English Dictionary. Retrieved from http://www.oed.com/view/Entry/377843#eid295344911

つまり、「〔自動詞〕ソーシャルネットワーキングサービスのツイッターに投稿すること。また、ツイッターを定期的または習慣的に使うこと。」という意味になる。個々の投稿という行為だけでなく、ツイッターを使用している習慣にも着目しているわけだ。

他動詞の用法の語釈も見てみよう。

trans. To post (a message, item of information, etc.) on Twitter. Also: to post a message to (a particular person, organization, etc.).

tweet, v. (2013, June). In Oxford English Dictionary. Retrieved from http://www.oed.com/view/Entry/377843#eid295344911

これは「〔他動詞〕(メッセージや情報の項目などを)ツイッターに投稿すること。また、(特定の人物や組織などに)メッセージを投稿すること。」という意味になる。実は英語では、メッセージそのものもメッセージの受け手も、“tweet”の目的語にすることができるのだ。つまり、「私は彼にツイッターでつぶやいた」は“I tweeted him.”となる。なお、“I tweeted to him.”という言い方も広く見られる。

脚注
  1. “tweet”はもともと「さえずる」という意味である。この「さえずる」という意味では昔から『オックスフォード英語辞典』に収録されていた。 []
  2. 和訳すると、「つぶやき」、「ツイート」。 []
  3. 和訳すると、「つぶやく」、「ツイートする」。 []
  4. 極めて単純に言うと、目的語を取るのが他動詞、目的語を取らないのが自動詞。 []